任意後見契約の種類
任意後見契約には、以下の3つの種類があります。
◆将来型
◆即効型
◆移行型
まず、将来型は、今現在問題はないけど、将来を考え、財産管理や身上監護を信頼できる人や法人に託しておくというものです。
例えば、子供や夫や妻がいない方、障害のあるお子さんがいらっしゃる方に有効な制度と言え、任意後見制度の基本型といえるかと思います。
但し、問題点としては、一人暮らしの本人と任意後見人受任者との関係が、契約後も親密であれば良いでしょうが、疎遠になっていた場合は、本人の判断能力が低下していることに気づかないということもありますし、契約から長い年月が経って、いざ必要となったときに、任意後見人受任者が後見人業務を行なえない状況になっている可能性もありますので、その辺りは不安が残る部分でもあります。
その対処としては、任意後見契約と同時に見守り契約といって、任意後見契約が始まるまでの間、支援する人と本人が定期的に連絡を取る契約をしておくという方法もあります。
即効型は、すでに判断能力が低下していて、契約してすぐに任意後見監督人を選んでもらって任意後見をスタートしたい場合に利用できる契約パターンです。
但し、本人に契約を結ぶだけの、せめて法定後見でいうところの補助程度の判断能力が残っていることが前提となりますので、それ以上進んでいると難しいと思われます。
即効型は、法定後見の補助の場合と違って、本人が任意後見人に代理してもらいたいことをご自身で決めることが出来ますので、その点はメリットかと思いますが、実際問題として、親族の間等で、契約した時に果たして正常な判断能力があったのか等について、後々揉めたりして、トラブルが起こることもあり、ちょっと使いにくいかもしれません。
移行型は、判断能力に問題ないうちでも、今のうちから財産管理はやってもらいたいという場合等は、まず財産管理契約と任意後見契約を結び、判断能力があるうちは財産管理だけ委任して、判断能力が低下したらそのまま任意後見に移行するという契約です。
先程の将来型で見守り契約を結んだ場合にも言えることですが、第三者と契約をした場合、財産管理契約に基づいて事務を行っていくことで、信頼関係を築いていくことができます。そうして、後に判断能力が低下して任意後見がスタートする際に、本人にとっては安心して後見を任せられますし、もしそれまでの間に不都合があれば、まだ本人の判断能力がある段階なら、任意後見契約を解消することもできますので、一番安心な形かもしれません。